コールセンターは、毎日多くの顧客データを扱うため、コンプライアンスが非常に重要です。コンプライアンス違反は、企業に多額の罰金を科し、評判を傷つける可能性があります。そのため、コールセンターのオペレーターは、コンプライアンスの基本を理解し、遵守することが重要です。
本記事では、コールセンターでコンプライアンスを維持するための対策をいくつか紹介します。コンプライアンスと顧客のプライバシーを保護し、罰金や評判の低下を回避することができますので、ぜひ参考にしてみてください。
コールセンターのコンプライアンスとは?
コンプライアンスとは直訳すると「法令遵守」という意味がありますが、近年ではコンプライアンスが対象としている概念が広がってきています。法令遵守はもちろんのこと、会社ごとの規則やそもそも一般常識、倫理観など範囲が拡大してきています。
このコンプライアンスは社会人が業務を行う上で常に意識しておきたい部分ですが、実はコールセンターでも常に守らないといけない厳しい部分でもあるのです。
特に個人情報を扱う領域のコールセンターにとって、法令遵守は厳しく見ていかないといけない部分になります。
コンプライアンスが重要視される理由
企業がコンプライアンスを重視する理由は、「法的リスクの軽減」と「信頼関係の構築」による信頼性と安定性の確保です。コールセンターは、コンプライアンス意識を高め、法令や規則を遵守することで、企業イメージの向上や企業価値の向上につなげることができます。
以下でそれぞれ解説していきます。
法令遵守かつ信頼関係の構築(信頼性)
これは、コールセンターが顧客や取引先とのやり取りにおいて、個人情報保護法や金融商品取引法などの法律や規制を遵守し、顧客からの信頼を得ることが重要であるためです。
例えば、コールセンターでは、顧客の個人情報を適切に管理し、不正アクセスや漏洩を防ぐための対策を講じなければなりません。また、金融商品の販売を行うコールセンターでは、金融商品取引法に基づき、顧客に適切な説明を行う必要があります。
企業イメージの向上(安定性)
コールセンターは、顧客からの問い合わせやクレーム対応など、多くの個人情報を扱うため、コンプライアンスの遵守が重要です。コンプライアンス違反が発生すると、顧客の個人情報が漏洩したり、顧客に不利益を与えたりする可能性があります。また、企業は社会的信用を失い、経営に大きなダメージを与えることもあります。
コンプライアンスを重視することで、企業は顧客からの信頼を獲得し、企業イメージを向上させることができます。また、コンプライアンス体制が整っていることは、企業の安定性や健全性を示すものであり、投資家からの評価も高まります。
コールセンターは顧客との接点が多いため、コンプライアンス違反が発生するリスクも高くなります。しかし、コンプライアンス意識を高め、法令や規則を遵守することで、企業イメージの向上や企業価値の向上につなげることができます。
コールセンターでのコンプライアンスの課題
コールセンターは、顧客とのやり取りにおいて機密性の高い情報を扱うことが多いため、コンプライアンスの課題に直面しています。コールセンターは、それらの課題を認識し、適切な対策を講じることが重要です。コンプライアンスで直面している3つの課題と対策について解説していきます。
1.情報セキュリティ問題
コールセンターは、機密性の高い顧客情報を扱うことが多いため、情報セキュリティのリスクにさらされています。情報セキュリティ問題には、データ侵害、データ損失、データ改ざん、データの不正アクセスなどがあります。これらの問題は、顧客の個人情報の漏洩、評判の低下、罰金など、コールセンターに深刻な影響を及ぼす可能性があります。
コールセンターは、情報セキュリティ問題を回避するために、適切なセキュリティ対策を講じることが重要です。これらの対策の一例として、以下のような対策が挙げられます
- コールセンターの設備対策
入退室の管理・サーバー管理・プリンター管理等
- システム対策
オペレーター端末の制御・情報の廃棄等
- オペレーターへの教育対策
個人情報保護教育・理解度テストの推進等
- 情報運用の対策
プライバシーマークの取得・情報一元管理、ネットワーク管理等
コールセンターは、これらの対策を講じることで、情報セキュリティ問題を回避し、顧客情報を保護することができます。
2.顧客情報の取り扱いにおけるリスク
顧客情報の取り扱いにおけるリスクには、次のようなものがあります。
①個人情報の漏洩
コールセンターは、顧客の個人情報を、不正な第三者に漏洩するリスクがあります。これは、データ侵害、データ損失、データ改ざん、データの不正アクセスなど、さまざまな原因で発生する可能性があります。
②顧客のプライバシーの侵害
コールセンターは、顧客のプライバシーを侵害するリスクがあります。これは、顧客の個人情報を使用する際に、適切な同意を得ていない場合や、正当な理由なく使用している場合に発生する可能性があります。
③罰金
コールセンターは、顧客情報の取り扱いに関する規制に違反した場合、罰金の対象となる可能性があります。罰金の額は、違反の重大度によって異なります。
コールセンターは、顧客情報の取り扱いにおけるリスクを認識し、適切な対策を講じることが重要です。これらの対策には、次のようなものがあります。
リスクにおける具体的な対応策
①強力なセキュリティ対策の実施
コールセンターは、顧客情報への不正アクセス、使用、開示、改ざん、または破壊から保護するために、強力なセキュリティ対策を実施する必要があります。
②従業員へのトレーニングの提供
コールセンターは、従業員に顧客情報の取り扱いに関するガイドラインとポリシーを理解するためのトレーニングを行い、定期的に理解度テストを行う必要があります。
③データの定期的な監査
コールセンターは、顧客情報の取り扱いの状況を定期的に監査する必要があります。これにより、潜在的なリスクを特定し、対処することができます。
3.法令遵守の難しさ
コールセンターが直面するコンプライアンスの課題の1つは、法令遵守の難しさです。コールセンターは、顧客とのやり取りにおいて、個人情報の保護に関する法律、不当な差別を禁止する法律、消費者保護法など、多くの法律や規制に準拠する必要があります。これらの法律や規制は複雑で頻繁に変更されるため、コールセンターが最新の状況を把握し、コンプライアンスを維持することが困難です。
さらに、コールセンターは、異なる国や地域で異なる法律や規制に準拠する必要があるため、国際的なコールセンターはコンプライアンスの課題に直面しています。コールセンターは、コンプライアンス違反を回避するために、法律や規制を遵守するための適切なポリシーと手順を整備することが重要です。また、従業員にこれらのポリシーと手順を周知し、コンプライアンスの重要性についてトレーニングを行うことも重要です。
コールセンターのコンプライアンス運用方法
研修プログラムの充実
研修プログラムでは、コンプライアンスに関する法律や規制、個人情報の取り扱い方法、クレーム対応方法などを学びます。研修を通じて、従業員のコンプライアンス意識を高め、コンプライアンス違反を未然に防ぐことが期待できます。
研修プログラムは、従業員のレベルや職種に合わせて、内容や頻度を調整することが重要です。また、研修は座学だけでなく、ロールプレイングやディスカッションなどの実践的な内容を取り入れることも効果的です。
研修プログラムの充実により、コールセンターはコンプライアンス体制を強化し、顧客からの信頼を獲得することができます。
監視体制の強化
監視体制の強化とは、コールセンターにおけるコンプライアンス状況を監視し、問題を早期に発見・対応するための仕組みを整えることです。監視体制を強化することで、コンプライアンス違反を未然に防ぎ、顧客情報の保護やコールセンターの評判を守ることができます。
監視体制の強化には、次のような方法があります。
- 従業員へのコンプライアンス教育・研修の実施
- コンプライアンス違反の疑いがある取引や行為のモニタリング
- 定期的なコンプライアンス監査の実施
- コンプライアンス違反への対応体制の整備
コールセンターは、これらの方法を組み合わせて、監視体制を強化することが重要です。
コンプライアンス違反時の対応方法
2022年6月に某自治体のコールセンターの委託先が約46万人の個人情報データの入ったUSBメモリを紛失してしまう事件が発生したことがニュースに取り上げられました。このような事態を招かないためも、企業はコンプライアンス違反を回避するために、コンプライアンスポリシーと手順を策定し、従業員にこれらのポリシーと手順を遵守させる必要があります。
原因特定と再発防止
コンプライアンス違反が発生した場合、まず違反の原因を特定し、再発を防止するための対策を講じることが重要です。原因の特定には、関係者へのヒアリングや内部調査などを行い、違反の根本的な原因を突き止めます。再発防止策としては、コンプライアンス教育の実施やガイドラインの整備などを行い、従業員のコンプライアンス意識を高めます。また、違反者に対して適切な処分を行うことで、他の従業員への抑止効果を図ることも重要です。
判明事案の記録とペナルティへの対応
速やかに事実関係を調査し、違反内容や影響範囲を把握することが重要です。また、違反の事実を記録し、証拠を保全する必要があります。違反が確認された場合は、関係当局に報告し、適切な措置を講じなければなりません。違反の内容によっては、罰金やその他のペナルティが科される可能性があるため、事前に対応を検討しておくことが重要です。
まとめ 委託先の企業選定時にはコンプライアンス遵守の部分をしっかりと見極めること
コンタクトセンターを外部に委託する場合、コンプライアンス遵守の部分をしっかりと見極めることが重要です。コンタクトセンターは、顧客の個人情報や機密情報を扱うことが多いため、コンプライアンス違反が発生すると、顧客の信頼を失い、大きな損害を被る可能性があります。
コンタクトセンターを委託する際には、次の点に注意する必要があります。
1.コンプライアンス体制の整備状況
2.従業員へのコンプライアンス教育・研修の実施状況
3.コンプライアンス違反への対応体制
コンプライアンス体制が整備されていない、従業員へのコンプライアンス教育・研修が実施されていない、コンプライアンス違反への対応体制が整っていないコンタクトセンターには、業務を委託しないよう注意が必要です。
ニッセンは法令遵守はもちろんのこと、コールセンターのアウトソーシングで実績のある会社です。「コスト削減」「品質向上」「柔軟性の向上」「リスク軽減」などでお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。