インバウンド(掛かってくる電話)に対応するコールセンターは、多くの企業にとって顧客との重要な接点となる役割を果たしています。
インバウンド対応を成功させるには、通常のコールセンターやアウトバウンドのコールセンターとの違いを理解し、具体的な組織体制や運営について理解を深めることが重要です。
そこでこの記事では、インバウンド対応をするコールセンターについての基礎知識から、運営の実際までを詳しく解説していきます。ニッセンの低コスト×高品質なコールセンター業務支援については、下記ページでご紹介しています。
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インバウンドコールセンターとは何か?
インバウンドコールセンターは、主に顧客からの問い合わせやサポートリクエストに対応するための専門部門です。
企業の他、自治体でも市民に対してインバウンドコールセンターを設置するケースがあります。
では、インバウンドコールセンターは、他の役割を担うコールセンターとどこが違うのでしょうか。
インバウンドコールセンターと通常のコールセンターの違い
インバウンドコールセンターは、通常のコールセンターと比較して、顧客からの受電(掛かってくる電話を受けること)を中心に業務が進められます。
例えば、商品に関する質問、サービスの利用方法、トラブルシューティングなど、顧客のニーズに直接応えることが求められます。この点が、セールスなどの架電(電話を掛けること)を行うアウトバウンドコールセンターとの大きな違いです。
インバウンドコールセンターは、顧客との接触を通じて企業のブランドイメージや満足度を左右する重要な存在です。
インバウンドコールセンターとアウトバウンドコールセンターの違い
アウトバウンドコールセンターは、企業側から顧客に対して電話をかけ、商品の提案やサービスの案内を行うことが主な目的です。これに対して、インバウンドコールセンターは、顧客からの問い合わせを受けて対応することが基本業務です。
両者の役割は大きく異なり、それに伴って求められるスキルや運営方法も異なります。
下記のページでは、コールセンターのアウトバウンド業務について、詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
コールセンターのアウトバウンド業務とは?成功に導く7つのポイント→こちら
また、下記のページでは、インバウンドコールセンターに限らず、コールセンター全般とそのメリットやデメリットについてさらに詳しく解説しています。
コールセンターとは?業務支援歴40年超の企業が種類からメリット・デメリットまで徹底解説→こちら
インバウンドコールセンターの組織体制と役割
インバウンドコールセンターでは、複数のスタッフが役割分担をして業務に当たります。
インバウンドコールセンターの代表的な組織体制として、5つの役割分担について、現場に近い順に詳しく見ていきましょう。
オペレーター
オペレーターは、インバウンドコールセンターの最前線で顧客対応を行うスタッフです。
彼らは、顧客からの問い合わせに対して迅速かつ正確に応答し、必要に応じて問題解決をサポートします。
オペレーターの役割は非常に重要であり、その対応次第で顧客満足度が大きく変わることがあります。
カスタマーサポート
カスタマーサポートは、オペレーターからエスカレーションされた案件や、より複雑な顧客対応を専門的に行う部署です。
カスタマーサポートのスタッフは、商品やサービスに関する深い知識を持っている必要があり、それによって顧客の問題解決を支援します。
テクニカルサポート
テクニカルサポートは、製品やサービスに関する技術的な問い合わせに対応する専門家です。
彼らは、システムのトラブルシューティングや、技術的なアドバイスを提供する役割を担っています。
テクニカルサポートの質が高いと、顧客の信頼を大きく高めることができます。
スーパーバイザー
スーパーバイザーは、オペレーターやカスタマーサポートチームの日常業務を監督し、問題が発生した際には迅速に対応します。また、スタッフのパフォーマンスを評価し、必要に応じてトレーニングを提供する役割も担います。
スーパーバイザーの存在は、現場の運営を円滑に進める上で欠かせません。
マネージャー
マネージャーは、インバウンドコールセンター全体の運営を統括し、組織の目標達成に向けて現状を分析したり、戦略を策定したりします。
インバウンドコールセンターのマネージャーは、コールセンターのパフォーマンスを評価して組織の上層部に報告し、リソースの最適化を図るなど、コールセンターの生産性向上や課題解決に重要な役割を果たします。
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インバウンドコールセンターのオペレーターに求められるもの
オペレーターは、電話で顧客とコミュニケーションを行うことから、高度なスキルや知識が必要です。
では、インバウンドコールセンターのオペレーターに求められるものとは何でしょうか。重要な3つの能力について解説します。
顧客応対スキル
オペレーターは企業の顔であり、「企業イメージを損なわない対応」を意識する必要があります。
また、電話は顔の見えないコミュニケーションであるため、電話での応対スキルは顧客満足度に直結しやすいです。
顧客への挨拶の仕方・お詫びの仕方・話の聴き方など、基本的な研修を行ったうえで指導役の管理者の応対を聞きながら、スキルを身に付けていく必要があります。
自社商材知識
自社の製品やサービスについて深く理解していることは、オペレーターが適切な対応を行うために必要です。
製品の特徴やサービスの内容についてしっかりと把握しているオペレーターは、顧客の質問に対して迅速かつ正確に答えることができます。また、適切なアドバイスを提供することで、顧客に安心感を与えることができます。
事務処理能力
多くのコールセンターの業務フローでは、顧客との通話が終了した後、通話内容を履歴として残すことになっています。
通話履歴はパソコンの履歴管理システムに入力するため、一般的なパソコン操作のスキルが必要です。
さらに、顧客との通話目的・結果・課題、エスカレーションすべきことがなかったかなど、通話内容をまとめてレポーティングする能力が求められます。
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インバウンドコールセンターのKPI
インバウンドコールセンターの組織運営で重要になるのが、KPI(重要業績評価指標、キー・パフォーマンス・インディケーター)です。
KPIは、関係者の感覚だけに頼らずに、客観的に状況を分析して課題を見つけ、解決に取り組む上で、無くてはならない指標です。
インバウンドコールセンターの主なKPIを4つご紹介します。
応答率
応答率とは、電話のつながりやすさを示すKPIです。
顧客から電話が100回掛かってきたうち、実際に出ることができたのが90回であれば、応答率は90%となります。
高い応答率は、顧客が長時間待たされることなく対応を受けられることを意味し、顧客満足度を向上させます。
応答率が低い場合、顧客は不満を感じやすくなり、最悪の場合、サービスから離れてしまう可能性もあります。
下記のページでは、コールセンターの応答率を上げる方法について、詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
コールセンターの応答率を上げる方法。計算方法や目標目安、改善策を詳しく解説はこちら
サービスレベル(SL)
インバウンドコールセンターにおけるサービスレベル(SL)とは、掛かってきた電話に対して、ある時間内で応対できた割合を示すKPIです。
これは、顧客がどれだけ速やかに対応を受けられるかを評価するための重要な指標であり、サービスの質を直接反映します。目標とするSLに達していない場合、運営体制の見直しが必要になることもあります。
CPC(コスト・パー・コール)
インバウンドのコールセンターは、通常コストセンターとして扱われます。
コールセンターにコストが掛かりすぎると、商品やサービスの価格を上げるなどの対応が必要になるため、CPC(コスト・パー・コール)を用いて、コールセンターのコストをモニタリングすることが重要です。
CPCは、オペレーターが受けた電話1本あたりのコストを示すKPIです。
CPCを見ることで、コールセンターの運営に何人のオペレーターが必要で、コストがどの程度かかっているのかを把握することができます。
稼働率
生産性を示すKPIの代表に挙げられるのが稼働率です。
稼働率は、オペレーターの生産能力やスキルなどを幅広くチェックする指標で、稼働率が高いほど、待ちの状態になっているオペレーターが少ないことを意味します。
下記のページでは、コールセンターの稼働率について、詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
コールセンターの稼働率とは?適正な値を保つ方法と応答率・占有率との違いを解説→こちら
これらのKPIの他、AHT(平均処理時間)やATT(平均通話時間)などもコールセンターのKPIとして使われることがあります。
下記の記事で、コールセンターのKPIについてさらに詳しく解説しています。
コールセンターで重要なKPI項目15個を総まとめ!計算方法もわかりやすく解説→こちら
コールセンターはまずインバウンド業務の設置から始めるのが基本
コールセンターを新しく開設する場合には、インバウンド業務から開始するのが基本です。
ここからはインバウンド業務の設置を始める理由について、解説します。
顧客の満足度を上げるため
インバウンドコールセンターに問い合わせを行うお客様は、すでに自社の商品・サービスを購入しているか、購入を迷っている方が多いです。
そのため、お客様が困っている内容や疑問を解消することで、お客様との信頼関係を築いたり、自社の商品やサービスに対する満足度を上げたりすることもできます。
また、お客様の問い合わせ内容を集約し検討することで、商品やサービスの改善を行ったり、新商品の開発につなげたりすることも可能です。
さらに売上増につなげるため
インバウンドコールセンターに問い合わせをしているお客様は、すでに自社の商品・サービスを利用している、または興味をもっています。コールセンターでの応対の内容によっては、お客様が継続して購買してくれる可能性を高められるでしょう。
また、インバウンド業務を通じてお客様の潜在的なニーズを理解しておくことができれば、アウトバウンド業務による営業に活かすことができます。
アウトバウンド業務でもスキルを活かすため
インバウンド業務でお客様の対応を行っていると、潜在ニーズを引き出すトーク力や、自社の商品・サービスへの知識が養われるため、アウトバンド業務に培ったスキルを活かせるようになります。したがって、インバウンド業務を経験することで人材を育成することができます。
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インバウンドコールセンターを効率的に運営する方法
インバウンドコールセンターを効率的に運用するためには、KPIの可視化を行うだけではなく、数値の改善を行うことも重要です。今回、品質・収益性・生産性のKPIについてご紹介しましたが、自社のセンターの目的に応じて、強化すべきKPIは異なります。
受注業務を行うコールセンターでは、短時間でお客様の注文内容を確認し、入力することで多くのお客様からの注文を受けることが可能になるため、生産性を強化できます。
テクニカルサポートのコールセンターの場合は、お客様の課題を解決しなければ、意味がありません。
そのため、オペレーターの知識を増やし、オペレーターが知らない知識を仕組みやシステムでサポートできると、お客様の満足度を高めることにつながります。
ここからは、インバウンドコールセンターを効率化し、KPIを強化するための代表的な施策についてご紹介いたします。
オペレーターへの教育を徹底的に行う
オペレーターは、実際の業務を始める前に電話応対のトレーニングを終わらせていますが、業務知識の習得については終わりがありません。新しい商品やサービスがリリースされるたびに広範囲かつ深い知識が必要となります。
また、お客様の応対の中でクレームが発生した場合には、管理者へエスカレーションするだけではなく、自身で対応するスキルと柔軟性が必要になります。
そのため、ハイパフォーマーと呼ばれる熟練のオペレーターの通話内容を聞き、事前にシミュレーションを行っておくと安心です。
したがって、インバウンドコールセンターを運営するときには、定期的に新しい商品やサービスの理解を深め、柔軟な対応の実現に向けた訓練をする時間と場所の確保をしておくとよいでしょう。この施策は、どのような業務にも共通して必要となり、品質・収益性・生産性のKPIへの影響を与えます。
【参考記事はこちら】:コールセンターで行う研修や教育方法とは?その具体的内容をご紹介! | 通販支援ノート (nissen.biz)
細かなマニュアル・スクリプトを作成する
お客様の応対は挨拶で始まり、お客様の情報や問い合わせ内容の確認、問い合わせの回答、クロージングの挨拶のように基本的な流れが決まっています。
流れに沿ったトークスクリプトやマニュアルを用意しておくことで、経験の浅いオペレーターであっても、お客様の応対をスムースに進められます。
トークスクリプトやマニュアルを作成するときには、オペレーターが確認しやすく、検索しやすい構成にしておくことが重要です。この施策も、どのような業務にも共通して必要で、収益性・生産性のKPIへの影響を与えます。
【参考記事はこちら】:【見本付き】コールセンターのスクリプト作成方法と作成例 | 通販支援ノート (nissen.biz)
【参考記事はこちら】:コールセンターの質はスクリプトで決まる! 効果を上げるためのポイントを解説 | 通販支援ノート (nissen.biz)
チャットボットや自動音声応答システム(IVR)を導入する
システムを活用して、インバウンドコールセンターで受けるコール数自体を削減する施策も有効です。
たとえば、コンサートのチケット予約をするさいには、自動音声応答システムが利用されています。
予約したいコンサートの番号や日付を電話機のプッシュトーンから入力するだけで予約が完了し、チケット代金の支払い用の確認番号が音声でお客様に提供されるシステムです。
チケット予約という単純な業務の流れであるため、システム化のハードルが低く、実現しています。
収益性・生産性のKPIは、電話回線数とシステム処理能力の影響を受けます。
【参考記事はこちら】:IVR(自動音声応答システム)とは?コールセンターに導入するメリットを解説 | 通販支援ノート (nissen.biz)
WebサイトにFAQページをつくる
商品・サービスのWebサイト掲載ページにFAQサイトを設けることで、お客様が自分で疑問を解決できます。
お客様はコールセンターに電話する必要がなくなり、コールセンターは電話を受ける必要がなくなるため、収益性・生産性のKPIを大きく向上させることに寄与します。
コールセンター業務そのものを外部委託する
これまでご紹介した施策を自社ですべて用意するのは難しいかもしれません。
コールセンター業務が本業ではなく、管理者にその経験が少ない場合や、システムを構築するためのコストが見合わない場合もあるでしょう。
このような場合、すべてを自営する必要はありません。
コールセンター業務の一部、またはすべてを専門のコールセンター事業者に外部委託することも、効率化させる大きな選択肢といえます。
専門の事業者であれば、先述した施策を実行できるシステムや仕組みをすでに保有しているため、業務の効率化を短期間に実現できるでしょう。
ニッセンがカスタマーサポート、カスタマーサクセスでご支援しているクライアントへ、弊社との取組による成果を率直に伺いました。
まとめ:コア業務に集中するには外部委託も可能
インバウンドコールセンターの業務は、企業活動を継続するうえで欠かすことができません。
業務を日々推進するためには効率化も必要です。
しかし、業務の効率化を行いたくても、経験の少ない管理者にとって自社の業務内容に沿った計画を作成することは、容易ではありません。
専門のコールセンター事業者に外部委託することで、効率化への道のりが見えてきます。すべての業務を外部委託するという選択肢もありますが、自社のセンターと外部委託先を組み合わせる、業務の繁閑に応じて外部委託先を活用するなど、最適な組み合わせを見つけることもできるでしょう。
ニッセンは、カタログ販売を通じたインバウンドコールセンター業務を約50年にわたり提供してきました。
長い歴史と経験で蓄積されたインバウンドコールセンター業務の仕組みとノウハウを活用して、他の企業のコールセンター業務を支援するサービスを提供しています。
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