ダイレクトマーケティング入門のイラスト

消費活動が多様化した現在、新たなマーケティング手法として注目を集めているのが「ダイレクトマーケティング」です。ダイレクトマーケティングを効果的に活用すれば、高い費用対効果を得ることが期待できます。

しかし、いざダイレクトマーケティングを取り入れようにも、その内容がよくわからず二の足を踏んでいる方も多いのではないでしょうか。

そこで今回の記事では、ダイレクトマーケティングとは何なのか、その代表的な手法やメリット、実際の成功例なども含めて詳しく解説していきます。ダイレクトマーケティングの導入に悩んでいる事業者の方は、ぜひ参考にしてください。

ダイレクトマーケティングとは?

「ダイレクトマーケティング(Direct Marketing)」とは、企業と顧客がダイレクト(直接的)にやり取りをするマーケティング手法です。中間業者を挟まないことで低コスト化するだけでなく、顧客との双方向的なコミュニケーションが実現し、効果測定のためのデータ収集が容易であるという特徴があります。

企業と顧客が1対1でコミュニケーションを取ることにより、余計な費用をかけることなく、顧客1人ひとりに最適化したアプローチができるとして、現在注目を集めています。

ダイレクトマーケティングの対義語は?

ダイレクトマーケティングの対義語は「マスマーケティング(Mass Marketing)」です。

マス(Mass)は「大衆」という意味で、その名の通り、不特定多数の大衆へ向けたマーケティング手法を指します。別名「マス広告」とも呼ばれます。

たとえば、テレビで流れるCM、4大紙(読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、産経新聞)・雑誌広告・雑誌広告、ラジオCMなどが代表的なマスマーケティング手法として挙げられます。

ダイレクトマーケティングが企業対顧客の双方向的なやり取りである一方、マスマーケティングは企業から顧客への一方向的な情報伝達である点に大きな違いがあります。

ダイレクトマーケティングの代表的な手法

ひとくちにダイレクトマーケティングといっても、その手法はさまざま存在します。対象とする顧客の属性や、マーケティングを行う目的に応じて、適するものを選ぶ必要があります。

ここでは、中でも代表的な5つの手法について確認していきましょう。

ダイレクトメール(DM)

顧客のもとに直接郵送物を送る「ダイレクトメール(DM)」は、最も基本的なダイレクトマーケティングの手法です。

ただし、すべてのDMがダイレクトマーケティングに当てはまるわけではありません。顧客ごとに内容を変え、1人ひとりに最適化したアプローチを行うDMに限られます。DMは自宅のポストに届く紙媒体のアプローチであるため、ダイレクトマーケティング手法の中でも、特に高齢者の反応が良い傾向にあります。

 テレマーケティング

顧客に電話をかけてアプローチする「テレマーケティング」も、代表的なダイレクトマーケティング手法です。電話口で顧客の反応がすぐ聞けるため、双方向のやり取りができるというダイレクトマーケティングの特徴が最も実感されやすい手法だといえます。

テレマーケティングは更に、企業側から顧客に向けて架電する「アウトバウンド型」と、顧客からの問い合わせに応対する「インバウンド型」に分かれます。アウトバウンドとインバウンドいずれの場合も、オペレーターの対応品質が顧客満足度に直結するため、専用コールセンターを設けるのが望ましいといえます。自社でノウハウが無い場合は、専門業者に外注するのも手段の1つです。

テレマーケティングはDMと同様、高齢者の反応が良い手法です。しかし、だからといって架電回数を多くすると印象が悪くなる恐れもあります。架電のタイミングや回数に関しては適切に管理することが重要です。

 Eメールマーケティング

顧客にEメールを送る「Eメールマーケティング」もダイレクトマーケティングの代表例です。Eメールとは、言うなればインターネット上のDMであり、郵送する場合に比べて低コストで運用することができます。

Eメールマーケティングは更に、定期的に配信する「メールマガジン」、あらかじめ設定した順番と頻度で送る「ステップメール」、年齢や性別などの条件に基づいて配信する「セグメントメール」などに分けられます。

Eメールを用いたマーケティングは、個人顧客相手の場合、迷惑メールフォルダに分類されてしまったり、そもそも開封されなかったりするため、開封してもらえるように件名などに工夫を凝らす必要があります。しかし、昨今は消費者のコミュニケーション手段が多様化し、企業側からのキャンペーン告知に関しては、メールから、LINE、SNS、アプリ通知が主軸となりつつあり、メールへの依存度は減少傾向にあります。

SNSマーケティング

従来のコミュニケーション手法が多様化していく中で、LINEやInstagramをはじめとしたSNS上で商品のプロモーションをしたり企業の情報を発信したりする行為も、近年、最も注目されているダイレクトマーケティング手法の1つです。

SNSは、顧客に直接働きかけて双方向でのやり取りができるため、自社の商品やサービスに関心のある見込み客にアプローチしやすいという特徴があります。また、SNSの利用者は若い人の割合が大きいため、若者をターゲットにした商品やサービスのマーケティングを行う際は特に効果的です。

レコメンデーション

レコメンデーションとは日本語で「おすすめ」という意味で、ECサイトなどで顧客の好みにあった商品情報を表示することを意味します。

顧客1人ひとりが実際に閲覧したり購入したりした商品履歴をもとに算出するため、より購入されやすい商品に絞ったマーケティングを行うことができます。

レコメンデーションは非常に高い効果の見込めるマーケティング手法ですが、運用するためには複雑なアルゴリズムやフィルタリングが必要です。そのため、ノウハウが無い状態から参入するには、ハードルの高いマーケティング手法だといえます。

ダイレクトマーケティングのメリット

ダイレクトマーケティングを行うことで得られるメリットは、大きく分けて3つあります。1つずつ詳しく確認していきましょう。

メリット①:高い費用対効果が得られる

ダイレクトマーケティングは、高齢者に対しては郵送のDM、若者に対してはSNSといったように、顧客属性と相性の良い手法を取ることができます。その結果、広告費などにかかったコストに対しての見返りが多い、つまり費用対効果が高いことがメリットとして挙げられます。

また、いずれの手法も顧客と双方向的にやり取りができるので、顧客ニーズを掴みやすく、継続的な購入に繋がりやすいという特徴もあります。そのため、個々の顧客とのワントゥワンマーケティングへと発展し、自社ファンを増やすことでLTVが向上する効果も期待できます。

メリット②:効果を数値化しやすく、PDCAサイクルを回しやすい

ダイレクトマーケティングは、行った施策の効果を数値化しやすい点もメリットです。たとえば、各媒体に出した広告に対する反応率、発行したクーポンが実際どれくらい使われたかという使用率、DM送付による商品のリピート購入率などを、それぞれ数値データとして可視化することができます。

また、そうして得られたデータを分析すれば、今後の改善に向けてPDCAサイクルを回していくことができます。それを繰り返していけば自社の課題が明確になり、事業全体の改善が期待されます。

メリット③:少人数で固定費を最小限に抑えられる

ダイレクトマーケティングを効果的に活用すれば、集客や販売のために店舗を設ける必要がありません。そのため、建物の維持費や、運営に伴う人件費などのコストを大幅にカットすることができます。

また、個々の顧客に対するアプローチはDMやメール、SNS、アプリなどが担うため、人力で営業を行う必要が無くなります。その結果、より少ない人数での効率的な事業運営が実現できます。一方で、ECや通販では、広告費をはじめとしたプロモーションコストが確実に発生するため、販促固定費の確保は必ず必要となります。

ダイレクトマーケティングのデメリット

ダイレクトマーケティングはメリットの多い手法である一方、デメリットもいくつか存在します。ダイレクトマーケティングの効果を最大化するためには、事前にこれらに留意して進める必要があります。

ここでは、代表的なデメリットを2つ確認しておきましょう。

 デメリット①:収益を出すのに時間がかかる

先述の通り、ダイレクトマーケティングにはPDCAサイクルを回しやすいという特徴があります。しかしダイレクトマーケティングを実施するにあたって、広告費などの費用は必ずかかりますが、それが目に見える効果に繋がるには時間がかかります。初期費用を回収して収益を出すためには、まず一定のテストマーケティングの期間を設け、目標CPAやCPOを設定し、適切に管理しながら運用していくことが不可欠だということを念頭に置いておきましょう。

 デメリット②:顧客ごとにアプローチを変える必要がある

ダイレクトマーケティングは、顧客と直接やり取りをすることができます。しかしそれは同時に、顧客ごとにアプローチの内容を変える必要があるということでもあります。

顧客の年齢や性別などのセグメントによって、DMやSNSなどのうち、どのマーケティング手法が効果的かが異なってきます。また、同じセグメントに属する顧客であったとしても、その趣味嗜好によって好みの商品やサービス、刺さる文章表現なども変わってくるでしょう。

ダイレクトマーケティングは、不特定多数に発信するマスマーケティングと違って数が打てません。そのため、顧客データを収集しながら、常に最適なアプローチ方法を模索していく必要があるといえます。

ダイレクトマーケティングの成功事例

最後に、ダイレクトマーケティングの成功事例として見習いたい2つの企業についてご紹介します。

成功例①:Amazon

世界最大手の通販会社「Amazon」は、ダイレクトマーケティングの先駆者としてぜひ見習いたい企業です。中でも象徴的なのが、そのレコメンデーションシステム。

同社の蓄えたビッグデータをもとに、実際の閲覧履歴や購入履歴から、顧客1人ひとりに最適化したおすすめ商品を表示しています。また、その内容を定期的にEメールでも配信することで、顧客が休眠化することを防いでいます。

顧客自身よりも顧客のニーズを掴んでいるリコメンデーションシステム、これこそAmazonが世界最大手を維持し続けている理由の1つだと考えられます。

参照: おすすめ商品について |Amazonカスタマーサービス

成功例②:ネスレ日本株式会社

コーヒー飲料で有名な「ネスレ」の日本法人である「ネスレ日本株式会社」は、ダイレクトマーケティングの新しい可能性を切り開いた一例として、ぜひとも押さえておきたい企業です。

同社が展開する、コーヒー代金だけでコーヒーマシンを無料でレンタルできる「定期お届け便(ネスカフェアンバサダー)制度」は、登録者同士の紹介システムを取り入れています。サービス登録者が発行したURLから新しく登録が行われれば、紹介した側もされた側も特典がもらえる仕組みです。

これによって、「企業対顧客」だけでなく、「顧客対顧客」の直接やり取りも実現されます。景品による優遇措置で顧客の継続購入を促すと同時に新規開拓も果たせる、今後のダイレクトマーケティングにおける新しいスタンダードになり得る画期的な施策です。

まとめ

今回は、近年注目を集めるダイレクトマーケティングについて詳しく確認していきました。

ダイレクトマーケティングは、顧客と直接的かつ双方向的なコミュニケーションを取ることができるため、従来の画一的なマスマーケティングに比べて、コストを抑えて高い効果を得ることが可能となります。

自社のマーケティング手法に伸び悩みを感じている担当者様は、この機会にぜひダイレクトマーケティングの導入を検討してみてください。

弊社ニッセンでは、DMやテレマーケティングなどのダイレクトマーケティングをはじめ、さまざまな媒体を用いたプロモーションサービスを実施しております。

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