どの業界も市場には限りがあるため、企業利益を効率的に向上させるためには、新規開拓だけでなく休眠顧客の掘り起こしを行う必要があります。
しかし、休眠顧客とは何なのか、掘り起こすことで具体的にどんなメリットが得られるのか、これらが不透明で対策が取れていない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、休眠顧客の概要から、掘り起こすメリット、顧客ごとの具体的なアプローチ方法に至るまでを詳しく解説していきます。
これを読めば、休眠顧客の正体がわかり、効果的な対策が取れるようになるはずです。休眠顧客に頭を悩ませている事業担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
「休眠顧客」の定義とは?
休眠顧客とは、過去に自社の商品やサービスを購入してくれたものの、その後一定期間新しく購入が無い顧客のことです。
過去に一度以上は自社で購入しているため、新規の見込み客に比べて、休眠顧客は優良顧客になる可能性が高い傾向にあります。また、顧客の新規開拓には当然コストが伴うため、自社利益を向上させるためには、過去に一度以上の取引実績がある休眠顧客を、いかに効率よく掘り起こすかが重要です。
休眠顧客と離反顧客は何が違う?
顧客が自社の商品やサービスから離れることを「顧客離反」と呼びます。そのため、休眠顧客と離反顧客は本来同じ意味だといえますが、一般的には以下のように使い分けられることが多いです。
- 休眠顧客:一時的に購買がストップしているが、再開する可能性がある。
- 離反顧客:何らかの理由で購買がストップし、既に他社に乗り換えている。
つまり、離反顧客は既に他社顧客になっている可能性が高い一方、休眠顧客はまだ自社顧客に戻る可能性を秘めているということです。
完全な離反顧客になってしまう前に休眠顧客を掘り起こすことが、自社利益を効率よく高めるためには必要不可欠だといえます。
休眠顧客を復活させるメリット
休眠顧客を復活させる(掘り起こす)メリットは、「新規顧客の獲得より低コスト」であることと、「自社の問題点の可視化」に役立つことの2点です。
それぞれ詳しく確認していきましょう。
メリット①:新規顧客の獲得より確実かつ低コスト
休眠顧客は、過去に自社の商品やサービスを購入した実績があります。そのため、新規顧客を獲得するために1からアプローチを行うよりも、高い確率で購買につなげることができるというメリットがあります。
また、新規顧客の獲得には、既存顧客の5倍コストがかかる(1:5の法則)とも言われているため、休眠顧客を掘り起こす方が新規開拓より圧倒的に低コストだといえます。
もちろん、休眠顧客のすべてが復活することは考えにくいものの、それでも新規開拓だけを続けるよりは高い効果が見込めるでしょう。
メリット②:自社の問題点の可視化
休眠顧客を見事掘り起こせたとしたら、それは休眠に至った理由がわかったということです。自社商品から顧客が離れた理由が可視化されれば、それを改善させるためにPDCAサイクルを回すことができます。
休眠理由を分析して自社の問題点を浮き彫りにできれば、今後生まれる休眠顧客の数を減少させ、自社利益を最大化させることが実現します。
休眠顧客が生まれる原因
顧客が休眠してしまう原因はさまざまですが、そこには一定のパターンが存在します。それらを見定めたうえで適切にセグメント化すれば、効率的に休眠顧客を掘り起こすことができるでしょう。
ここでは、主に通販などのBtoCビジネスにおいて、休眠顧客が生まれてしまう代表的な原因を4つ紹介します。
原因①:商品やサービスに不満がある
人が商品やサービスを購入する動機は、当然それが「良いもの」だと思うことです。それ故、購入した商品やサービスに不満があったとしたら、継続購入には至りません。この原因の場合、初回購入以降に休眠することが多いです。
一度商品やサービスに対してネガティブなイメージを持たれると、それを払拭して掘り起こすことは大変難しくなります。そのため、いきなり掘り起こそうとアクションを起こすのではなく、VOCを収集するなどして、満足が行かなかった原因を明らかにすることが大切です。
また、初回購入時に不明点があり、それを解消する問い合わせ先が無い場合も休眠してしまいがちです。このような事態に至ることを防ぐためには、自社コールセンターへの案内を強化したり、よくある質問項目をFAQとしてまとめ、商品と同梱するなどの対策が有効です。
原因②:商品やサービスが不要になった
顧客のニーズやライフスタイルが変化した結果、商品やサービスが不要になれば、顧客は継続購入をやめて休眠してしまいます。この原因の場合、ある程度の期間継続的に購入した後で休眠することが多いです。
たとえば、ベビー用品を購入していた顧客の場合、子どもが成長するに伴って不要になり、ある時点で継続購入がストップするでしょう。また、20代向け化粧品を購入していた顧客が30代になれば、ニーズが変わって休眠化することが想定されます。
このような場合、既にニーズが失われていることから、同一の商品やサービスで休眠の掘り起こしを行うのは困難です。そのため、顧客のニーズ変化を先取りして、それに対応できるアプローチを行うことが重要です。たとえば、ベビー用品の顧客には子ども用品の案内、20代向け化粧品の顧客には30代向け化粧品の案内を封入するなどして対策しましょう。
なお、特に健康食品やサプリメントなどは、商品がが不要になったわけではないものの、消費量が減って余ってしまう「商品余り」という現象も非常に多く、休眠となる理由のひとつです。
この場合、定期購入を一時的にスキップするなどの対応が取れるため、一般的には休眠扱いとはなりません。しかし、商品が余るということはニーズが低下していることが懸念されます。そのため、上記と同様に顧客ニーズを先取りしたオファー設計や定期購入の設計の見直しを行うなどの対策が効果的です。
原因③:最初から継続購入の意志がない
「初回限定の割引」など、商品に付属する特典目当てで購入した場合、最初から継続購入の意志が無いため休眠しやすいです。この原因の場合、初回購入以降に休眠するため、先述の「商品やサービスに不満がある」休眠化と区別がつきにくい点に注意が必要です。
割引などの特典目当ての場合、正規の金額での掘り起こしは難しくなります。あらためて期間限定のキャンペーン案内をするなど、お得情報の訴求が効果的です。
また、そもそも初回購入時点で購入意思を失い、他社製品に乗り換えてしまっている(離反している)場合は、掘り起こしは極めて困難です。そのような事態を防ぐには、「次回購入時〇%OFF」などと、継続購入することによるメリットを、初回購入時点でアナウンスすることが効果的でしょう。
原因④:購入したことを忘れてしまっている
顧客が商品やサービスを購入したこと自体を忘れてしまっている場合、当然継続購入には至りません。
このような顧客の発生を防ぐためには、継続的なコミュニケーションを取ることが重要です。郵送によるDMやEメール、テレアポなどのアプローチを定期的に行い、自社の存在を印象付けるようにしましょう。
休眠顧客の掘り起こしに適したアプローチ方法とは
特にリピート通販企業で休眠顧客を掘り起こす際に効果的なアプローチ方法としては、「Eメール」「DM(ダイレクトメール)」「電話(テレマーケティング)」の3種類が挙げられます。
それぞれで特徴やメリットが異なるので、1つずつ詳しく確認していきましょう。
アプローチ方法①:Eメール
Eメールは安価かつ手軽に休眠掘り起こしを狙えるアプローチ方法です。定期的に送ることで顧客との接点も作れるため、購入を忘れてしまうことの防止にも役立ちます。
とはいえ、1通だけ送ったり、散発的に送ったりするだけでは充分な効果が見込めません。事前に配信する時期や間隔を設定し、「購入から〇週後に1通目」「購入から〇ヶ月後に2通目」などと、複数回に分けて送るステップメール形式での配信が効果的です。
アプローチ方法②:DM(ダイレクトメール)
郵送でDMを送るのも、休眠掘り起こしには効果的なアプローチです。DMは顧客宅のポストに届いて直に手に取れるため、Eメールよりも開封率を高くすることができます。また、ITが苦手な高齢者層にもアプローチできるため、セグメントによっては高い掘り起こし効果を発揮することが期待できます。
DMのデメリットとしては、送付のために手間やコストがかかる点が挙げられます。また、ありきたりな内容だと読み捨てられてしまうので、デザインや文章をセグメントに最適化するなどの工夫が必要です。
アプローチ方法③:電話(テレマーケティング)
電話によるテレマーケティングは、休眠顧客の掘り起こしに非常に有効的な方法です。
EメールやDMと異なり、電話は口頭でのやり取りになります。そのため、その場で双方向的なやり取りができ、顧客に商品のアプローチをすると同時に、商品に対する不満や要望なども拾い上げることが可能となります。休眠化の原因は多くの場合仮説の域を出ないため、このようにして顧客の声をもとに原因を可視化できる機会は非常に重要です。
また、定期的にテレマーケティングを行うことで、顧客が自社の商品やサービスを忘れることの防止にもつながります。顧客のニーズの変化にも対応しやすいため、定期的に電話でお伺いを立てると効果的です。
とはいえ、短期間にかけ過ぎてしまうと、顧客の不信を買う原因になるので注意が必要です。数週間に1回、数ヶ月に1回などと、商品特性や顧客の属性に応じて、適切な期間を定めてリストを管理しアプローチしましょう。
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アプローチ内容はセグメント化したうえで決定する
上記のアプローチ方法は、どれも休眠顧客に情報を伝えるという点で共通しています。しかし、ひとくちに休眠顧客といっても、先述の通りその原因はさまざまです。そのため、すべての休眠顧客に対して一律のアプローチを行っていては、充分な効果を得ることができません。
休眠顧客へアプローチする際は、事前に特定の条件に基づくセグメントを行い、そこから休眠原因を仮説として考えたうえで、アプローチの内容を変えることが効果的です。
以下の表は、代表的なセグメント例とアプローチ内容をまとめたものです。
セグメント例 | 休眠原因(仮説) | アプローチ内容 |
初回購入以降、継続での購入がない | 商品やサービスに不満がある |
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最初から継続購入の意志がない |
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継続的に購入していたが、その後購入がない | 商品やサービスが不要になった |
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購入したことを忘れてしまっている |
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これらの施策を円滑に進めていくうえでは、顧客を管理するCRMツールなどを導入し、一元管理することも重要です。
CRMツールとは、購入履歴や行動パターンなど顧客情報の管理が可能となり、
その情報から顧客に合わせたアプローチ方法を選択できる機能もあるため、休眠顧客へのアプローチに関しては有効なツールとなります。
【まとめ】休眠顧客の掘り起こしはニッセンへ
今回は、休眠顧客の概要と、その掘り起こし方法について詳しく確認しました。
休眠顧客は過去に取引実績があるため、掘り起こすことができれば、新規開拓に比べて低コストかつ効率的に自社利益につながります。
休眠顧客の掘り起こしにおいては、適切なセグメントを行い、原因に応じたアプローチを取ることが必要です。
今回ご紹介したことを参考に、自社にとっての宝の山である休眠顧客の掘り起こしを、ぜひ実践してみてください。
弊社ニッセンでは、DMの発送代行から、電話でのテレマーケティングまで、休眠顧客の掘り起こし支援をしております。特にテレマーケティングを活用しリピート通販関連の企業様への支援実績は豊富です。
また、新規獲得支援も行っておりますので、休眠掘り起こし・新規獲得両面での貢献も可能です。
アプローチ方法などでお悩みのご担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。