通販における健康食品の広告・マーケティング活動では、消費者に誤認を与えないよう、誇大広告に注意する必要があります。実際、商品内容に誤認を与えるような誇大広告を掲載してしまい、その健康食品を販売する事業者に罰則が課されたり指導が入ったりした事例もあります。
本記事では、通販における健康食品の誇大広告の詳細とその事例、その他に健康食品の広告・マーケティング活動で注意することについてご紹介していきます。
化粧品やコスメ、健康食品でよく使われる広告表現について法令上問題のない表現について解説しています
誇大広告とは?健康食品などの事例と消費者庁のガイドラインを紹介
通販やインターネットを介した広告・マーケティング活動では、消費者に誤認を与えないよう、誇大広告に注意する必要があります。実際、商品内容に誤認を与えるような誇大広告を掲載してしまい、その健康食品を販売する事業者にペナルティが課されたり指導が入ったりした事例もあります。
本記事では、誇大広告の概要や、誇大広告で気をつけたい商材について解説し、中でも健康食品通販における誇大広告例や、広告・マーケティング活動で注意することについてご紹介します。
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誇大広告とは
誇大広告とは、商品やサービスの効果・効能を実際以上に強調する広告です。消費者に誤解を与えるため、広告を出す企業は誇大広告にならないように注意が必要です。
消費者庁はこれを防ぐためにガイドラインを設け、景品表示法や健康増進法に基づく監視を強化しています。
最近の例だと、「満足度No.1」のような広告を表示していた6社※について、消費者庁は2024年、景品表示法違反(優良誤認)に基づく措置命令を出しました。会社側がNo.1の根拠としていたアンケート調査の方法が、回答者にサービスを利用したことがあるか確認しておらず、自社を1位にするための恣意的な内容だったのがその理由です。
また、特定商取引法という法律は、事業者が広告をする際には、重要事項を表示することを義務付けると同時に、虚偽・誇大な広告を禁止しています。
事業者は法律を遵守し、消費者に正確な情報を提供することが求められます。過度な宣伝は罰則の対象となります。
※出典「満足度No. 1」広告 客観的裏付けなく 6社に再発防止命じる | NHK | IT・ネット
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240301/k10014376311000.html
誇大広告に気をつけたい商材の例
現代社会では、さまざまな商材の広告があふれていますが、その中には誇大広告に当たる表現も少なくありません。広告を出す側の企業が特に気をつけたいのが、次のような商材の広告です。
健康食品
健康食品は消費者の体内に入るため、誇大広告は重大な問題を引き起こす可能性があります。たとえ健康上、問題にならない場合でも、誇大広告は、消費者に誤解を与え、期待外れの結果に終わることが多いです。これにより、消費者の信頼を失い、ブランドイメージが損なわれるリスクがあります。
科学的に証明されたデータや信頼できるエビデンスを基に、実際に期待できる効果を誠実に伝えることが重要です。
化粧品・コスメ
化粧品・コスメも健康に関わるため、誇大広告は避けなければなりません。
化粧品の広告表現は、薬機法という法律により細かく規制されています。法律上問題ない表現か、専門家のチェックを行い、誇大広告にならないようする必要があります。
化粧品やコスメの販売は、比較的手軽に始めやすいこともあり、中には信頼性の低い広告も世に出てしまいやすいといえます。
投資商材
投資商材は消費者の大切な財産に直接影響を与えるため、誇大広告にならないように注意が必要です。
「短期間で高額の利益が得られる」といった広告は信頼性が低く、結果的に大きな損失を招く可能性があります。これにより、企業の信頼が失われるだけでなく、法的な問題にも発展するリスクがあります。
投資のリスクとリターンを、透明性のある形で説明し、現実的な期待値を提示することが重要です。
以降では、特に健康食品の誇大広告にフォーカスして、注意したいことや法律の規定、罰則について見ていきます。
化粧品やコスメ、健康食品でよく使われる広告表現について法令上問題のない表現について解説しています
健康食品の誇大広告とは?
通販における健康食品の誇大広告とは、実際より利点を強調するなどし、他製品より有利であると誤解を与える恐れのある広告のことです。例えば、次のような文言が入った広告が誇大広告に当たります。
・「〇〇歳、若返る」
・「飲むだけで肌荒れ改善」
・「1ヶ月で痩せる」
上記のような文言を使って、実際の効果よりも健康食品の利点や有利性を強調した広告を打ってしまうと、消費者に誤解を与えてしまう恐れがあります。
私たち自身が消費者として誇大広告に惑わされないように注意するのはもちろんのこと、生産者や販売者として広告を打つ場合は、特に注意が必要です。
中でも、健康食品の通販では、知らず知らずのうちに誇大広告になってしまいやすいです。扱っている健康食品やその広告の文言などにもよりますが、「景品表示法」「健康増進法」「薬機法(旧・薬事法)」といった法律に違反していないかどうか、掲載する際には注意が必要です。
そもそも健康食品には何が含まれる?保健機能食品制度について
健康食品とは、経口的(口を通して取り入れること)に体内に摂取される、健康の維持・増進に特別に役立つことをうたって販売される食品全般を指します。そのため、医薬品と異なり、その効果・効能に法律上の定義がなされているわけではありません。
しかし健康食品の指標の1つとして、「保健機能食品制度」が存在します。
保健機能食品制度とは、
・国が有効性や安全性を個別に審査し許可した「特定保健用食品(トクホ)」と、
・国が定める特定の栄養成分の規格基準に適合した「栄養機能食品」、
・科学的根拠に基づいた機能性を表示した「機能性表示食品」
の3つに分けられます。
保健機能食品制度では、健康の維持や増進が期待できる食品の場合に、その機能について表示することができます。
また国の定めた栄養成分について一定の基準を満たす場合には、その栄養成分の機能を表示することが可能となります。
【参考記事はこちら】:健康食品のチラシは薬機法(薬事法)に要注意!気をつけるべき4つのこと
単品通販マーケター・ライター初心者向け薬機法・景表法・健康増進法サクッと確認→資料をみてみる
健康食品の広告やマーケティング活動で注意することとは?
通販で健康食品を販売し売上拡大を狙う際には、広告やマーケティング活動が欠かせません。その際、注意して行わないと、意図せずして上記の例で挙げたような誇大広告になってしまう可能性があります。ここでは、消費者庁のガイドラインと誇大広告事例についてご紹介します。健康食品の広告やマーケティング活動を行う際は、ぜひ参考にしてください。
消費者庁のガイドラインに留意する
消費者庁から、広告表示についての具体例や違反事例を紹介するガイドラインとして、「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」が公表されています。
健康食品に関する広告・マーケティング活動を行う際は、このガイドラインを参考にして誇大広告の防止対策に努めましょう。また、通販における健康食品の広告やマーケティング活動では、「景品表示法」と「健康増進法」「薬機法(旧・薬事法)」、「有利誤認」と「優良誤認」のそれぞれについても理解しておく必要があります。それぞれ確認していきましょう。
景品表示法・健康増進法・薬機法上における健康食品の注意事項とは?
・「景品表示法」とは、消費者の自主的で合理的な商品の選択を阻害しないようにし、消費者の利益を保護するための法律です。
一方、
・「健康増進法」は、健康増進の重要性が増す中、国民の健康維持と現代病の予防を目的として制定された法律です。
また、
・「薬機法(旧・薬事法)」は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と言い、具体的には医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療用具などについて製造・販売・安全対策まで規制し、その適正化をはかることを目的とした法律です。
健康食品についての広告・マーケティング活動を行う際は、これらの法律に順守したうえで行っているかどうかをしっかり確認する必要があります。
有利誤認・優良誤認における健康食品の注意事項とは?
有利誤認とは、景品表示法第5条に記載があり、消費者に商品の有利性を誤解させてしまう可能性のある表示のこと。たとえば、「この健康食品は、他の商品よりもお得!」と広告を打つことなどが当てはまります。有利誤認の代表的な事例が、他社の販売価格と自社の販売価格を並べて表示し、消費者に安いと誤認させるなど、相手方に著しく有利であると見せるような表示法です。
優良誤認とは、同じく景品表示法第5条に記載があり、消費者に商品の優良性を誤解させてしまう可能性のある表示のこと。たとえば、「この健康食品は、他の商品よりも良い!」と広告を打つことなどが当てはまります。合理的な根拠がないのにも関わらず、「飲むだけで痩せる」「老化を防ぐ」などと広告表示してしまうと、不当な表示として罰せられる可能性が高まります。
通販における健康食品の広告やマーケティング活動にあたって、有利誤認や優良誤認によって消費者に誤認を与えることを避けるためには、専門家の意見や調査を踏まえて合理的な根拠を明示することが大切です。
参考:健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について
138ワード記載!化粧品・コスメ・健康食品でよく使われる広告表現OK一覧表→資料をみてみる
誇大広告の事例を参考に広告やマーケティング活動を進める
景品表示法と健康増進法、薬機法(旧・薬事法)に留意したうえで、有利誤認と優良誤認に陥らないように広告・マーケティング活動を行うためには、これまでの誇大広告事例を参考にするのが効果的です。実際に健康食品の広告やマーケティング活動を進める際には、過去の良くない事例も参考にし、同じ結果にならないように注意しましょう。
参考:薬機法違反に関わる違反表現・広告事例集134選 | 薬事法ドットコム (yakujihou.com)
参考:執行状況 2022年度 | 消費者庁 (caa.go.jp)
治療や予防としての事例・効果を表現しない
通販の広告・マーケティングにおいて、健康食品が治療や予防に効果を発揮するという表現を使用するのは避けるようにしましょう。医薬品として承認されていない健康食品の場合、そのような表示は誇大広告の対象となります。
たとえば、「〇〇の治療・予防に効果的!」「〇〇治療・予防で治った事例あり!」などは、消費者に誤認を与える可能性が高く、誇大広告に該当する可能性があります。
医薬品としての事例・効果を表現しない
健康食品が医薬品としての効果・効能や性能を発揮するという表示も、消費者に誤認を与えるので避けるようにしましょう。たとえば、認可を受けてないにも関わらず、「〇〇病院でも採用実績あり!」「〇〇医師の推奨商品!」などと表示してしまえば、誇大広告に該当してしまいます。
美容としての事例・効果を表現しない
健康食品が美容としての効果・効能や性能を発揮するという表示も、誤認を与える可能性が高いので、使用する際は注意が必要です。たとえば、合理的な根拠がないにも関わらず「〇〇歳、若返る」「飲むだけで肌荒れ改善」などと表示すると誇大広告に該当します。
参考:「誇大広告」とは?押さえておくべき4つの法律と罰則を分野別に解説|TOP COURT
化粧品やコスメ、健康食品でよく使われる広告表現について法令上問題のない表現について解説しています
健康食品を誇大広告で販売するとどうなる?
健康食品についての広告・マーケティングを行う際は、その表示が景品表示法・健康増進法・薬機法(旧・薬事法)に反していないか、有利誤認・優良誤認を与えていないか、事前に入念に注意することが必要です。しかし、結果的にこれらの法律に違反していたり、誤認を与えてしまっていたりして、誇大広告とされてしまうケースも少なくありません。健康食品を誇大広告で販売してしまうと、次のような罰則を受けます。
景品表示法における措置命令・罰則と課徴金制度
健康食品が景品表示法に違反している疑いがある場合、まず消費者庁によって関連資料の収集や、事業者への事情聴取などが行われます。そして該当の健康食品に違反行為が認められた場合、消費者庁はその事業者に対して措置命令を下します。
- 措置命令とは
不当表示により消費者に与えた誤認の排除、再発防止策の実施、今後同様の違反行為を行わないことなどを命ずること。 - 措置命令に違反した場合の罰則
2年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科されます。
また、違反の事実が認められない場合であっても、違反のおそれのある行為があれば指導の措置が採られる可能性があります。なお、優良誤認表示行為、有利誤認表示行為が認められた場合には、課徴金の対象となります。
参考:健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について|消費者庁
健康食品の広告における薬機法(旧・薬事法)の罰則
薬機法(旧・薬事法)は、保健衛生上の危害の発生・拡大の防止、および指定薬物の規制、医薬品・医療機器及び再生医療等製品の研究開発を促進するために定められた法律です。この薬機法(旧・薬事法)によって、健康食品の広告や表示に関する規定が定められています。薬機法(旧・薬事法)に反する健康食品の広告を打った場合は、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金が課されます。また、業務停止命令や広告の中止命令、商品の回収命令などの行政指導が行われるケースもあります。
広告出稿に関係する法令についてサクッと紹介しています。
まとめ:健康食品の広告・マーケティングは専門の業者へ依頼しよう
通販における健康食品の広告・マーケティング活動は、景品表示法と健康増進法、薬機法(旧・薬事法)、有利誤認と優良誤認といったように、さまざまな法律に注意したうえで行う必要があります。
法律違反をした場合には罰則が課され、仮に違反が無くても、その恐れがある場合は指導が入ってしまうため、事業運営に大きな悪影響を及ぼします。こうしたリスクを回避するためにも、通販における健康食品の広告・マーケティングは専門の業者へ依頼することをおすすめします。
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