ポスティングや折込、同封同梱などで、顧客にリーチするチラシのデザインや内容は重要です。しかし、一度テストしたチラシの効果が充分でなかった場合、その原因がどこにあるのかわからず、改善方法に困っている方も多いのではないでしょうか。
より効果的なチラシを作成するには「ABテスト」の実施が効果的です。この記事では、ABテストとは何かという概要から、具体的な方法や流れ、実施する際の注意点などを詳しく説明していきます。
より良いチラシ作りに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
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ABテストとは?
ABテストとは、同じ条件下で2種類の広告を出し、どちらの方が反応(レスポンス)が多いかを調査する試験方法です。AとB2種類の広告を比べると考えれば、「ABテスト」という名称にも合点がいくでしょう。
ABテストはWEBマーケティングやSNS広告の効果測定にも広く使われる手法ですが、ポスティングや折込、同封同梱などのチラシの効果を検証する際にも非常に役立ちます。
ABテストの目的は?
チラシでABテストを実施する最大の目的は、より反応率(反響率)の高いチラシを作成することにあります。
たとえば、あるチラシを一定期間配布し、反応率が想定より低かったとします。その場合、成果が今一つだったという結果はわかるものの、その原因を特定するのは容易ではありません。デザインが悪かったのか、キャッチコピーが悪かったのか、商品の金額が問題なのかと、何が悪影響を与えたかが見えてこないからです。
その一方、ABテストを実施すれば、AとBのチラシの差が、そのまま改善点として見えてきます。たとえば、Aのチラシには写真を、Bのチラシにはイラストを掲載してABテストを実施したとします。その結果、A広告の方が高い反応率だったとすれば、そのチラシでは写真の訴求力の方が高いと判断できます。
ABテストで効果が高かった仕様や内容を採用し、その後も検証要素を変更してABテストを継続していけば、着実に理想のチラシに近づいていくでしょう。
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ABテストの具体的な方法と流れ
チラシのABテストは、PDCAサイクルに基づいた流れで行うのが効果的です。
PDCAサイクルとは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の4つを一連のサイクルと見なす概念モデル。Plan から Action までの一連の流れを継続的に繰り返すことで、業務の改善が期待でき、さまざまなビジネスシーンで活用されています。
ここでは、健康食品のチラシ作成を例にして、PDCAサイクルに基づくABテストの具体的な方法や流れを確認していきましょう。
①Plan(計画):仮説を立てる
チラシのABテストを行う際は、まず入念に仮説を立てることが大切です。見切り発車でABテストを実施すると、充分な効果検証ができず、結果的にかかった費用が無駄になってしまいかねません。
仮説と聞くと難しく感じられるかもしれませんが、実際は「どのような訴求をすれば商品が売れるか」という疑問提起をするだけで充分です。
ここでは、健康食品のチラシを作成するにあたって「金額の安さより効果効能を強調した方が売れるのではないか?」という仮説を立ててみましょう。
②Do(実行):ABテストを実施する
仮説を立てたら、それを踏まえてAとBの2案を作成し、ABテストを実施します。今回の例の場合は、以下のような2案がよいでしょう。
- A案「効果効能を前面に打ち出したチラシ」
- B案「金額の安さを前面に打ち出したチラシ」
ABテスト実施の際、AとBで条件が違うと正しい結果が得られません。そのため、同媒体、同枚数、同セグメント、同時期などと、それぞれで条件を揃えた状態で実施しましょう。
③Check(評価):テスト結果を分析する
チラシを配布してから一定期間が経過したら、ABそれぞれの反応率を比較して分析しましょう。
今回は仮に、それぞれを1000枚ずつ配り、問い合わせ(反応)があった件数、および反応率の関係が以下のようだったとします。
ABそれぞれの違い | 配布数 | 反応数 | 反応率 |
A「効果を前面に打ち出したチラシ」 | 1000枚 | 10件 | 1% |
B「金額の安さを前面に打ち出したチラシ」 | 1000枚 | 5件 | 0.5% |
この結果を見ると、Aの方がBより反応が多かったことがわかります。そのため、当初立てた「金額の安さより効果効能を強調した方が売れるのではないか?」という仮説が立証されたことになります。
とはいえ、必ずしも立てた仮説が正しく立証される必要はありません。今回の結果が正反対で、B案の方が多くの反応を得られていたとしても、それは「効果効能より金額の安さを強調した方が売れる」という仮説が立証されたと取れるからです。
ABテストにおいては、仮説が立てた通りに立証されるかどうかは気にせず、その結果を正確に分析することが重要だといえます。
④Action(改善):効果のあった方を採用し、再度仮説を立てる
ABテストの結果、より効果があった方のチラシのデザインや文面などを採用し、それをもとに再度新しい仮説(Plan)を立てましょう。そのようにして、PDCAサイクルを継続的に循環させることで、より反応率の高いチラシが出来上がっていきます。
今回の例の場合、当初の仮説通り「金額の安さより効果効能を強調した方が売れる」と立証されました。そのため次のテストでは、初回で効果のあった「効果効能を強調するチラシ」をメインのコントローラー(Aパターン)とし、「ヘッドコピー違い」「お客様の声違い」「イメージ写真違い」などのBパターン案と合わせて実施します。
コントローラーとは、元のテスト結果と同じ仕様のチラシのことです。効果測定を焦って、コントローラー無しでABテストを繰り返すと、何が効果的なのか掴めなくなってしまいます。ABテストを実施する際は、常にコントローラーとなるチラシを入れ、反応率がそれより改善できているかを検証していきましょう。
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ABテストを行う際の注意点とは?
ABテストの基本的な流れは以上の通りですが、その過程ではいくつかの注意点があります。
ここでは、特に代表的な4つの注意点について、詳しく確認していきましょう。
注意点①:比較する要素はなるべく1つに絞る
ABテストを実施する際は、比較要素はなるべく1つに絞りましょう。比較要素が増えてしまうと、何が反応率に影響を与えたのかがわからず、テスト結果を正確に分析できなくなってしまうからです。
たとえば、先ほどのABテストを以下の2パターンで実施したとします。
- A「効果効能を前面に打ち出し、男性の写真を掲載したチラシ」
- B「金額の安さを前面に打ち出し、女性の写真を掲載したチラシ」
その結果、Aの反応の方が良かったとしても、「効果効能」と「男性の写真」のいずれが結果に影響したのかがわかりません。そのため、再度それらを検証するためのABテストが必要となり、二度手間になってしまいます。
ABテストを行う際は、一度で完結させようと焦らずに、1つひとつ着実に検証を重ねていくことが重要です。
注意点②:同一条件下で検証する
ABテストは、ABそれぞれをなるべく同一条件下にして実施しないと意味がありません。同一条件とは、折込やポスティングなら配布エリア、同封同梱なら年齢セグメント、あとは枚数や時期などが挙げられます。
たとえば、Aのチラシを20代女性顧客への配送に同梱し、Bのチラシを50代女性顧客へ同梱したとします。この場合、年齢セグメントが異なるため、それぞれの顧客のニーズや趣向が違っていて、正しいテスト結果に至らない可能性があります。
もちろん、まったく同じ条件というのは現実的ではありませんが、似たエリアや同じ年齢層、近い時期などと、なるべく条件が近くなるよう工夫して実施することが重要です。
注意点③:集計がしやすいよう工夫する
せっかくABテストを実施しても、ABそれぞれの反応が混在してしまえば、正確に結果を分析できなくなってしまいます。そのため、AとBの反応を分けて集計できるよう工夫する必要があります。
たとえば、ABそれぞれで記載する通し番号を変え、コールセンターで受注する際に聞き取り調査をしたり、WEBで受注する際に番号を入力してもらったりなどの工夫が効果的です。
注意点④:一度だけで終わらせず、継続的に実施する
ABテストは、一度実施して終わりではありません。「反応率の高いチラシ作成」という成果に繋げるためには、先述したようにPDCAサイクルとして回し続け、継続的に取り組む必要があります。
また、過去に反応の良かったチラシが、この先もずっと変わらず有効とも限りません。時代のニーズに合わせて調整していくためにも、ABテストは定期的に実施するのが効果的です。
レスポンス広告で利用の紙媒体クリエイティブの改善についてチェックリスト付きで解説します。
【まとめ】ABテストで効果検証を繰り返し、より良いチラシを作成しましょう。
今回は、チラシでのABテストの具体的な方法や流れ、実施する際の注意点などを詳しく確認してきました。
ABテストは、チラシのデザインや内容を改善し、より高い反応率を実現するために非常に効果的な方法です。チラシを配布する際はしっかり仮説を立て、繰り返しABテストを実施するようにしましょう。
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